吉田直嗣のモノトーンの世界は、日が昇り、辺りが陽光に照らされ、そしてまた美しい闇夜を呼び起こす、その光の移ろいをあらわしているように思えます。
それほど繊細に日常の白と黒を無意識的に作り出す手は見事としか言いようがありません。
今回揃う作品は、どれもその繊細な色使いを持つ、いわゆる入れ物です。花を活ける、枝を差す、手を入れず空間に据える、だれにも用途を強いることがなく、すっと手に取りたくなる器ばかりです。

置かれた空間の空気は一変し、辺りの些細な音が、とても心地よく感じます。
活けられた枝花はすらりと背筋が伸びたように際立ちます。

清々しさを望み、またすべての生命が陽の光を求めはじめるこの季節に、ぜひ吉田直嗣の作品に触れていただきたい。