益子は彼の故郷でもあり、この土地に戻ることは必然的ともいえますが、彼のアプローチは土の焼きもののそれとは少々異なります。
美術大学にて工芸を学び、そしてプロダクトデザインの道に進んだ秋山は、そこで、様々な素材を使いながら自らの手を動かすことに楽しさを覚え、制作活動に没頭することになります。
今回の展示で発表するCrack and Shrink は、多種多様な塗料を塗布した発泡スチロールを電気窯にて焼成することにより、予期できない形状と表面の表情を生み出します。
土が発泡スチロールに、釉薬はアクリル塗料に、素材こそ異なれど、まるでさながら土の焼きものと同様に、あとは火に任せるのみです。
工芸と工業デザインの境界線で、彼は錬金術の様に、新たな価値を見出します。
人が土のうつわに見染められるように、わたしたちはまた、彼の生み出す新しい焼き物の形が日常のスタンダードになることに期待せずにいられないのです。
<開催概要>
タイトル:New Era of Japanese pottery CRACKS AND SHRINKS Ryota Akiyama
開催期間:2023年4月28日(金) ‐ 5月31日(水)
開催場所:CIBONE Brooklyn